ピコレーザー(エンライトンSR)


ピコレーザーとは、1兆分の1秒という非常に短いパルス幅(照射時間)のレーザーを照射し、シミ・そばかす・色素沈着・肝斑などのメラニン色素の除去や、肌のハリ・ツヤ、また毛穴やニキビ痕などの肌質改善を行うレーザーです。


当院では患者様の症状や肌質、目的に応じて、ナノ秒レーザー(Qスイッチルビー・Qスイッチヤグレーザー)やロングパルスレーザー(アレクサンドライト)や光治療機(フォトフェイシャル)などを使い分けて、シミ治療を行っています。


●ピコ秒とナノ秒の違い

 

・きわめて短い照射時間

ピコレーザーは従来のシミ治療で用いられているナノ秒レーザー(Qスイッチレーザー)よりも1/1000の速さのピコ秒(1兆分の1秒)という短い時間で照射します。

 

 

・メラニン色素を細かく粉砕

ナノ秒レーザー(Qスイッチレーザー)よりも短い照射時間で強いエネルギーを出すことができるため、メラニン色素を衝撃波にて細かく粉砕することが可能です。そのため、粉砕したメラニン色素を体内の貪食細胞(お掃除してくれる細胞)が取り込みやすくなり、シミが消退しやすくなります。

●エンライトンSR(Skin Revitalization(肌再生))

ピコレーザー治療器の多くは、主に刺青(タトゥー)除去のために開発されています。当院ではピコレーザーを美肌治療として使用するため、より美肌に特化し黄色人種の肌質に適した設定ができる「エンライトンSR」(キュテラ社製)を採用しています。この機器は厚生労働省とアメリカFDAより承認された医療機器です。

 

●適応・治療方法

ピコレーザー(エンライトンSR)には、目的の異なる3種類の照射法があります。

 

①ピコスポット

対象の方

・フォトフェイシャルや従来のレーザーでとり切れなかった薄いシミを除去したい方。

・今までのシミ治療より、より高い効果を求めたい方。

・照射後の炎症後色素沈着のリスクを減らしたい方。

 

ピコレーザーは熱ではなく、衝撃波による強いエネルギーでメラニンを細かく粉砕するため、肌に余計な熱影響を与えずに薄いシミに反応させることが可能です。痛みが少ないため、麻酔なしで照射することが可能です。照射直後はやや膨疹ができ、その後に薄いカサブタ(マイクロクラスト)ができて1~2週間で脱落します。

カサブタのある間はカサブタがこすれて脱落しないようにしっかりとケアすることが必要です。ケアの仕方によっては炎症後色素沈着が長引くことがありますのでご注意下さい。

また、ピコスポットとピコトーニングは合わせて施術することで、シミ・くすみのない透明感のあるお肌に近づくことが出来ます。

 

②ピコトーニング

対象の方

・肌のトーンを全体に上げたい方

・炎症後色素沈着を早く改善したい方

・肝斑の方

・肌のハリ感や艶を出したい方

 

蓄積してしまったメラニンを回数を重ねて少しずつ排泄させます。メラニンの除去のみでなく、肌のハリ感や艶、きめを整えるなどといった肌質改善にも効果があります。従来のトーニングよりもパワフルなため、2週間~4週間おきに施術していきます。定期的に行うことでメラニンの蓄積をなくし、くすみや色むらを改善して美肌を保つことが出来ます。ピコスポットやピコフラクショナル(ソフト)と同日の施術が可能です。

施術間隔:2週間~1か月間隔を約10回施術するのがオススメです。

 

②ピコフラクショナル(ソフトコースとハードコースがあります)

 

対象の方

・肌のハリや艶を出したい方(ソフト)

・毛穴が気になる方(ソフトまたはハード)

・カサブタにならないフラクショナル治療を受けたい方(ハード)

・にきび痕の気になる方(ハード)

 

専用のMLAレンズというものを装着してレーザーを点状に照射することで、表皮を傷つけずに真皮に刺激を与えコラーゲンやエラスチンを増生し、真皮をリモデリングする治療法です。照射の強さによって、ソフトコースとハードコースがあります。ソフトコースでは真皮の再生を促し肌のハリや艶を出します。ハードコースでは毛穴やニキビ痕などに対応します。ソフトコースではダウンタイムがほぼありませんが、ハードコースは施術後、腫脹、発赤、紫斑などが1週間~2週間ほど続くことがあります。またハードコースは施術前に塗布麻酔が必要です。

施術間隔:ソフトコース 1か月~2か月間隔で続けていくのがオススメです。

     ハードコース 1か月~3か月を複数回(症状が改善したら一度終了)

 

施術のできない方

 

日焼けをしている部位には施術ができません。

治療部位に皮膚がんがある方は施術できません。

妊娠中の方は施術ができません。授乳中の方は医師との相談が必要です。

光過敏や光アレルギーのある方、てんかんのある方は施術できません。

アキュテイン(難治性ニキビ治療薬)使用後6か月はこの治療ができません。

金療法や金の糸の治療を行っている方は、青灰色変色が生じる可能性があるので治療できません。

抗凝血剤使用の方は、紫斑やあざのリスクが増加する可能性があるため医師との相談が必要です。

出血性疾患の方は治療できません。

施術部位に白い刺青のある方は黒色の変化を起こすので施術できません。

ケロイド体質の方には治療できません。

ステロイド内服中の方や、糖尿病のコントロールが不良の方は、創傷治癒が遷延する可能性があるので医師との相談が必要です。

 

注意事項

 

施術後は肌が乾燥しやすくなるためしっかりと保湿をしてください。

(エレクトロポレーションと合わせて施術すると乾燥の緩和に効果的です。)

すべての施術前後は遮光をしっかりとおこなってください。スポット治療後、またはトーニング治療後にカサブタが出来た場合はカサブタが取れないような丁寧なスキンケアが必要です。カサブタが早期に脱落すると炎症後色素沈着が起こりやすくなりますのでご注意下さい。

トーニング治療は肝斑を完全に消失させるものではなく、コントロールするものです。

ですので、照射後、肝斑が再燃する可能性もあります。また、まれに色素脱失を起こすことがあります。

トーニング後は毛包炎が照射部全体に出やすくなります。1週間ほどで消退しますが、症状がひどい方はクリニックにご連絡の上、受診をお願いします。

スポット治療やフラクショナルハード治療では照射部に紫斑が起こります。また1週間ほど照射部の発赤や腫脹が続きます。肌質等により炎症後色素沈着を起こすことがあります。その場合はスキンケア指導及び美白剤塗布や内服にて経過を見ます。まれに色素脱失を起こすことがあります。

フラクショナル治療ではごくまれに瘢痕形成を起こし得ます。

 

 

 

※効果には個人差があり、必ずしもご希望通りの効果が出ない場合もあり得ます。